東京湾アクアラインで海ほたるを通り過ぎた木更津寄りの遠浅の海ベでは簀立(すだて)と呼ばれる魚捕り遊びが行えます。
簀立(すだて)は古来からの漁法で潮の満ち引きを利用したシンプルな漁法です。
周りを網で覆った簀(す)を袋状に立てて、満潮の間に入り込んだ魚は潮が引きだすと外に出られなくなり、ちょうどいけすのような状態となります。そこへ網を持って入り魚をすくい取るのです。
子供の頃、川で石を並べて似たようなことをやって遊んでいた記憶がありますが、こちらは東京湾。
穫れる魚も江戸前です。鯛やスズキ、ダツ、サヨリ、マゴチ、コハダ、ワタリガニ、あさりに青柳。
簀立ての詳しい漁法については、つぼやさんのHPに解説があります。
すだて遊びの予約
簀立(すだて)あそびは一般客の体験もできるのですが、1隻仕立ての団体予約となっているため個人ではなかなか気軽には参加できません。
ですが、たまに団体の中から欠員が出ると数名程度の募集がかかるようです。
つぼやさんでは、HPとメールマガジンで欠員の募集を行っています。
すだて体験
今回、その欠員が出るということで、お友達家族とタイミングを合わせて簀立(すだて)遊びに行ってきました。
薄曇りの中、指定された時間に船着場へ到着すると、3~4隻分の団体客がすでに集まっていました。
今回利用したのは先ほどの網元つぼやさん。
高速木更津金田ICで降りてすぐの漁港が集合場所です。
今回の出発は9:00、潮の満ち引きの関係で時期により出発時間はまちまちのようです。
漁港を出て数分ですだて漁の現場へ到着。
すでに潮も引き、降りられる浅さです。
準備が整うと、いよいよ魚の待つすだての中へ。
後でわかったのですが、ここのスタートダッシュ、大事です。
夏の暑いこの季節、魚の入りも春先などに比べてあまり良くないようで、とれやすい魚からすぐに誰かに持っていかれてしまいます。網元の方も、漁をするなら4~6月、子連れのレジャーは夏と言っていました。水は冷たいほうが魚の回遊が良いそうです。
それにしても魚の動きは早く、なかなか手網一つでは難しいです。
そう簡単には入ってくれません。
他の人の網には、たいやすずき、さよりなどが入っていましたが..これも慣れなんでしょうか。
すずきなどの背の黒い魚はどんより雲の下では発見することができず、赤い鯛を狙ってとにかく目の前に来るのを待っていました。
で、ようやくゲットしたのがこちらの鯛。30cm以上のりっぱな鯛でした。
魚を捕まえたら、活きのいいうちにおじさんにシメてもらっておきましょう。
死んでしまうと身に血がまわり赤く変色して美味しくなくなってしまうようです。首と尾の部分に切込みを入れ血抜きを行なってくれました。
残念ながら捕まえられなかった子どもたちには、漁師のおじさんが見つけたワタリガニやしじみなどを網の中に投げ込んでもらっていました。
それでも子供は大喜び。
小魚がたくさんいれば網でもすくいやすかったのでしょうが、今回はそんなに多くなかったようです。本格的にとるなら暑くなる前がおすすめかもしれませんね。
船上で出されるお昼を済ませ、午後は潮干狩りへ。
潮干狩り
穫れるのは主にこの辺りでは青柳とも呼ばれているバカガイ、あさり、はまぐりなど。
バカガイは口が半開きなのでそんな変な名前が付けられているそうです。
つんつんと貝をつついて、口を閉じれば持ち帰り、開いたままだと砂処理が面倒なのであまり持ち帰る人もいないということですが、タンの部分だけはそのまま生で食べてもOKなんだそうです。
漁師のおじさんに「このカイ大丈夫?」って聞くと、船の縁でペチンとカイを割りツルンっと差し出してくれました。
江戸前の寿司ネタにもなっているだけあり、美味でした!
このバカガイはこんな感じで転がっています。
ただ、いたむ足も速いので沢山持ち帰ると砂処理などの調理が大変とのこと。
塩水につけておいてもなかなか砂を吐かないんだそうです。
生でプリっとオレンジの部分だけを頂くか、浅ゆでして砂部分をひとつひとつ丁寧に包丁で削ぎとるしかありません。
どちらにしても今夜のおかず程度にしておくのが無難です。
その他、カニ2匹と緑のものはアオサです。天ぷらにすると美味しいです。
朝9時からお昼を挟んで潮が満ち始める2時位まで、天気も大きく崩れることもなく夏のよい海遊びとなりました。子供はこのすだてを夏休みの自由研究のテーマにするそうです。
このすだて、本気で魚を大漁ゲットするなら、もう少し水が冷たい時期がベストなんでしょうが、大漁になってしまったら・・それはそれで、持ち帰った魚をさばくのはけっこう大変かも知れません。
日頃から釣りとかやってて、さばける方はいいんでしょうね~。