AIと何度もやりとりして、ようやく思ったとおりのものができた。
「そうそう、こんな感じ!」
話し合ううちに、自分の考えも整理されて、最初に思い描いていたものよりよくなることもあります。
ところが、別の日に新しいチャットを開くと、前に話したことをもう一度説明しなければならないことがあるんですよね。
好みや、何度も相談して決めたこと。せっかく話が通じるようになってきたのに、また最初から説明するのはちょっともったいない。
私も、AIを使い続ける中で、そんな経験をしてきました。
同じチャットで長く話していても、「あれ? 前に決めたことが抜けているな」と気づくときがあります。
そこで今は、話し合って決めたことや作業の進捗を、パソコンのフォルダに残すようにしています。
といっても、自分で長いメモを書いているわけではありません。何を残すかもAIと相談して、整理や更新もほとんどお願いしています。
やっていることは、意外とシンプル。
- 今の会話で、何を残すかAIと相談する
- 内容を確認して、メモとして保存する
- 新しいチャットにメモを渡して、続きを話す
会話の履歴を丸ごと移すのではなく、次の相談に必要なことを引き継いでいく方法です。
難しい設定や、特別なプロンプトを覚える必要もありません。
まずは、今の会話で何を残しておくとよいか、そこからAIと一緒に考えてみましょう。
引き継ぎメモは、AIと一緒に考えてみよう
「会話を引き継ぐためのメモ」と聞いても、何を残せばいいのか、すぐには思いつきませんよね。
目的や決まったこと、まだ迷っていること、次にやりたいこと。
残しておいたほうがよさそうなものはいろいろあります。でも、会話の内容によって大切なことは違うはず。
だったら、そこもAIに相談してみます。
この会話、また続きから話したいんだけど、何を残しておけばいい?
これだけでも、会話の内容をもとに、残しておくとよさそうなことを提案してくれます。
出てきたメモを見ながら、「これも大事だったよね」「そこはまだ決めてないよ」と話してみる。
最初から完璧な記録を作ろうとしなくても、こうしてやりとりするうちに、自分に必要な内容が見えてきます。
「ChatGPTの引き継ぎプロンプト」を探して、長い指示を用意する方法もあるでしょう。でも私は、普段の言葉で相談しながら決めていくほうが好きです。
だって、何を大事にしたいのか考えるところから、もう次の相談につながっているんですから。
ChatGPTのメモリがあるのに、記録は必要?
ここで、ちょっと気になることがあります。
「ChatGPTって、前の会話を覚えてくれるんじゃないの?」
そうなんです。ChatGPTには、過去の情報を今後の会話に生かすメモリ機能があります。
私自身、日頃から使っていることで、文章の好みやこれまでの背景を踏まえて返答してもらえる場面が増えたと感じています。
ただ、メモリがすべての会話を細かく記録し、毎回そのとおりに使ってくれるわけではありません。
ChatGPTが前の会話を覚えていないように感じるときも、記憶そのものがないとは限らないんですよね。
また、ChatGPTには、関連するチャットや資料をまとめて扱えるプロジェクト機能もあります。
どちらも便利ですが、私は手元のメモにも別の役割があると思っています。
メモリは、好みや背景などを会話に生かすもの。プロジェクトは、同じテーマのチャットや資料をまとめる場所。
それに対して、手元のメモは「今回は何が決まって、次に何をするのか」を自分でも確かめられる記録です。
必要な部分を選んで渡せるし、ChatGPT以外のAIを使うときにも役立ちます。
私も、ChatGPTとClaudeなどを使い分けることがあります。
ChatGPTで相談していた内容をClaudeに引き継ぎたいときも、前回までの要点がまとまっていれば、話の続きを始めやすくなります。
メモリがあるから記録はいらない、という話ではないんですよね。
便利な機能は使いながら、大事なことは自分の手元にも残しておく。私はそんな使い方をしています。
フォルダを一つ作ったら、進捗メモを置いてみよう
AIと一緒に残したいことが見えてきたら、今度はその置き場所です。
Windowsなら、まずは「ドキュメント」の中にフォルダを一つ作ってみるのはどうでしょう。
名前は「AIとの相談」でも「続きから始めるメモ」でも、自分がわかれば何でもOK。
私はパソコン本体とは別のSSDに置いていますが、最初からそこまでする必要はありません。
よく使う場所なら、エクスプローラーのクイックアクセスにピン留めしておくと便利です。毎回フォルダを探し回らなくて済みますからね。
メモを作るところも、AIに頼んでいい
フォルダができたら、さっきAIと相談した内容をファイルにしておきます。
といっても、特別なソフトは必要ありません。
AIに引き継ぎ用のメモを作ってもらい、その文章をコピー。Windowsの「メモ帳」に貼り付けて、「進捗.txt」という名前で保存すれば、それだけで始められます。
パソコンのファイルを直接扱えるAIを使っているなら、保存先を伝えて、作成までお願いする方法もあります。
この内容を、ドキュメントの「AIとの相談」フォルダに「進捗.md」として保存して。
もちろん、ファイルを直接操作できるかどうかは、使っているAIや環境によって違います。
最初は自分で保存する方法で十分。慣れてきたら、できるところから任せていけばいいと思います。
「進捗.md」が、次の会話の入口になる
使い続けていると、進捗だけでなく、文章の好みや参考資料、よく使う指示なども残したくなってきます。
ファイルが増えてきたとき、私が入口にしているのが「進捗.md」です。
.mdは、Markdownという形式のテキストファイル。難しく考える必要はなく、まずは「進捗.txt」でも構いません。
このファイルを見れば、今何をしていて、どこまで進んだのか。そして詳しい資料が必要なら、どのファイルを見ればいいのか。
その全体がわかるように、AIに整理してもらっています。
次から、この進捗を見れば、今の状況と必要なファイルがわかるようにしておいて。
たとえば、部屋の模様替えを相談していたなら、こんなメモになるかもしれません。
これなら、何日か空いても、どこから話を再開すればいいのかわかります。
しかも、単に前の会話を思い出すだけではありません。
たとえば、このメモを新しいチャットに渡して相談を再開したら、AIからこんな提案が出てくるかもしれません。
大きな家具は買い替えないんですよね。机の配置を二つ考えるなら、まず机の幅と、置きたい場所の壁の長さを測ってみませんか?
「ああ、そうだった。じゃあ、ちょっと測ってみようか」
そこから実際にサイズを測って、数字を伝える。すると今度は、その寸法をもとに、机の置き方を一緒に考えていけます。
前回の話を最初から説明し直すのではなく、前に決めたことを土台にして、次の行動へ進める。
これが、私の考える「会話を引き継ぐ」ということなんです。
もちろん、毎回この形にそろえる必要はありません。
仕事の相談と趣味の計画では、残したいことも違います。「次に困らないためには何が必要かな?」とAIと話しながら決めればいいんです。
ひとつ気をつけたいのは、保存する前に内容を見直すこと。
まだ迷っていることが「決定済み」になっていないか。大事な条件が抜けていないか。
ここだけは、自分の目でも確認しておきたいですね。
新しいチャットで、続きを話してみよう
メモができたら、さっそく使ってみます。
新しいチャットを開いて、保存した「進捗.txt」や「進捗.md」を添付します。
ファイルを添付できない場合は、中の文章をコピーして貼り付けても大丈夫。
そして、こんなふうに伝えます。
このメモを読んで、前回の続きを相談したいです。決まったことと、まだ迷っていることを確認して、次にやることを一緒に考えてください。
難しい引き継ぎプロンプトでなくても、これなら十分に意図が伝わります。
参考資料に「部屋の写真」と書いてあれば、実際に写真を見てもらいたいときは、その画像も一緒に渡します。
ファイル名がメモに残っているだけでは、別のチャットから写真の中身まで見えるとは限りませんからね。
ちなみに、私が普段やっているのは、もう少しくだけたやりとりです。
私「今日、なにするんだっけ?」
AI「進捗.mdちょうだい」
私「はい、これ」
AI「あ、前回ここまでやってたね。続きはこれかな」
ちょっと人間同士の会話みたいですよね(笑)。
これは、必要なときに進捗ファイルを確認するよう、普段からAIと取り決めているからできるやり方です。
初めて使うチャットでは、こちらからメモを渡してあげれば大丈夫。
そして、相談を続ける中で別の資料が必要になったら、そのときに追加していきます。
ChatGPTからClaudeなど別のAIに移るときも、基本は同じ。必要なメモを渡して、どこから続きを始めたいか伝えます。
ただし、別のサービスに渡す前には、個人情報や仕事の機密情報が含まれていないか確認しておきましょう。パスワードなどの認証情報は、そもそも引き継ぎメモに入れないほうが安心です。
記録は、使いながら少しずつ育てていく
「毎回きちんと記録しなきゃ」と思うと、ちょっと面倒になりますよね。
私も、会話のたびにメモを作っているわけではありません。
今日はこのへんで終わろうかな、と思ったとき。
新しいチャットに移ろうか迷ったとき。
あるいは、話が長くなって、前に決めたことが抜けているように感じたとき。
そんな区切りで、AIに「ここまでの進捗を残しておいて」と頼んでいます。
ファイルを編集できる環境なら、既存の進捗メモの更新までお願いできます。直接編集できなければ、更新版を作ってもらい、自分で保存し直せばOK。
うまくいかなかったことも、次のために残しておくと役立ちます。
文章の「です・ます」が続いたときも
私は、AIと一緒にブログ記事を作ることがあります。
以前から気になっていたのが、文章の終わりに「です・ます」が続いて、なんだか説明っぽくなってしまうことでした。
「です・ますを続けない」と指示しても、長い文章では、なかなか思ったようにならない。
そこで、AIと「どうしてこういう文章になるんだろう?」と話してみたんです。
その中で気づいたのは、単に語尾を変えたいわけではない、ということ。
書く側が一方的に説明するのではなく、読み手と同じ方向を向いて、一緒に考えていくような文章にしたかったんですよね。
その考え方を文章作成の指示に加えてみると、私の感覚では、以前より自然な文章になってきました。
うまくいかなかった理由を話し合って、次のために指示を直しておく。
そんな小さな改善も、記録しておけば別の日に生かせます。
何度も使うものなら、共通の指示ファイルやスキルとしてまとめておく方法もあるでしょう。
最初から立派な仕組みを作らなくても、使いながら少しずつ育てていけばいいんだと思います。
じっくり相談する時間と、作業する時間を分けている
ところで、私が普段、チャットでの相談を中心にしているのには理由があります。
AIに「これを作って」と頼むだけでなく、なぜうまくいかないのか、どうすればもっとよくなるのか、じっくり話し合いたいからです。
雑談の中から新しいアイデアが出てきたり、考えてもいなかった方向に話が広がったり。そんな時間も、AIを使う楽しさの一つなんですよね。
それに、通常のChatGPTのチャットなら、私は利用枠の残量をいちいち気にすることなく、気軽に何度も会話を重ねられます。
「あ、もう一つ思いついた」「さっきの話、ちょっと違う角度から考えてみようか」
そんなふうに、話が横道にそれても気にせず、納得するまで相談できる。ここが私には大きな魅力です。
もちろん、通常のチャットにも、利用するプランやモデルによって上限はあります。完全に無制限という意味ではありません。
それでも、Workでまとまった作業を進める場合とは、利用枠のことを気にする度合いが違うんですよね。
一方で、ファイルの整理や更新、まとまった作業を進めるときは、ChatGPT Workなどを使っています。
Workは、ファイルの読み込みやネット調査なども含めて、作業をまとめて進められるのが便利。
でも、まだ相談している段階なのに、そこまで調べなくてもいいのでは? と思うところまで作業が進むこともあります。
実は今回、この記事を最初からWorkで作る機会があったので、利用枠がどのくらい減るのかも見ていました。
ファイルの読み込みやネット調査を何度も行いながら進めたところ、5時間の利用枠の残量は99%から30%に。
もちろん、作業内容によって消費は変わりますし、この数字がそのままトークンの消費量を表しているわけでもありません。
それでも、以前から感じていた使い方の違いを、今回あらためて実感しました。
有料プランを使っていても、利用枠はやっぱり気になりますからね(笑)。
だから私は、相談はチャットでじっくり楽しみ、方針が決まったらWorkに実作業を任せるようにしています。
ChatGPT Workも、対応するデスクトップアプリなど、ローカルファイルを扱える環境なら、パソコン内のファイルを使った作業ができます。利用できる機能やアクセスできる場所は、環境や設定によって異なります。
詳しくはChatGPT Workの公式案内でも確認できます。
どちらか一方だけを使う必要はないんですよね。
会話を楽しむ時間と、実際に手を動かしてもらう時間。その両方をうまく使い分けるのが、今の私には合っています。
そして、その間をつないでくれるのが、手元に残している進捗メモです。
AIとの相談を引き継ぐために、最初から複雑なフォルダや仕組みを用意する必要はありません。
今、途中になっている相談があれば、その会話で「何を残しておけばいい?」と聞いてみる。
出てきた内容を一緒に見直して、まずは一つのメモに残しておく。
それだけでも、次のチャットで話を始めるときの気持ちは、ずいぶん違ってくると思います。
せっかくAIと話し合って生まれたアイデアや、試行錯誤して見つけた自分なりのやり方。
その場限りで終わらせず、次の会話にも生かしていきたいですね。
