生肉は加熱して

食中毒の原因と家庭でできる予防法

食中毒の原因は主に細菌とウィルスです。この時期になると特に細菌による食中毒が急激に増えてきます。 湿度と気温の高くなる5月ごろから増え始め、8月から9月にかけてピークを迎えます。

 

高温多湿の時期に最も繁殖しやすい食中毒菌は、O157やカンピロバクター菌、サルモネラ菌などがあり、その多くは熱処理によって殺菌することが出来ます。しかし中には熱処理に強い菌も存在します。

 

食中毒菌は、たとえ口に入れたとしても少量であれば体の中に取り入れても胃液によって殺菌されるため食中毒を起こすことはありません。

 

ただし、ある程度増殖した食中毒菌が体に入ってしまうと胃の中では殺菌しきれずに腸にまで侵入してしまいます。これが炎症の原因となり、辛い嘔吐、発熱や下痢などの食中毒症状を引き起こすことになります。

 

これから特に高温多湿の時期になってくると、食材の中で食中毒菌が増えやすい環境になってくるため注意が必要です。

 動物系の食材は食中毒菌に注意

大腸菌、カンピロバクター菌、サルモネラ菌などは鳥や牛豚など動物系の食材に付着していることが多く、まな板など直接触れることの多い部分は特に念入りな手入れが必要になります。

 

家庭の中で特に食中毒菌が多いのはどこ?

L4YOUの「食中毒にご用心、家庭でできる予防法スペシャル」
の中で、台所にある様々なものを検証してみた結果、一番細菌が繁殖しやすかったのはスポンジです。特に穴がたくさんあるものは要注意です。

 

スポンジの穴には汚れや食べかす、水などがたまりやすく、それを栄養源に細菌が繁殖するというものです。他のまな板、キッチンふきんなどと比べても段違いに多く検出されています。

 

続いて台布巾、洗濯したばかりの台布巾でさえ計測してみると多くの細菌が検出されていました。洗濯後わずかに残った台布巾の細菌は、水や汚れに再び触れることで一気に繁殖してしまいます。

 

その他、手拭きタオルやまな板なども細菌の宝庫となっています。

食中毒菌が繁殖しやすい危険な場所

  1. 食器洗い用スポンジ
  2. 手拭きタオル
  3. 台ふきん
  4. まな板

 

特に湿気の多い水回りというのが繁殖しやすいポイントです。

これからの季節は洗濯後でも再び水分に触れると、4時間から8時間で急激に増殖してしまうのでこまめな水洗いや取替も必要になってきそうです。

その他、TVのリモコンや、携帯電話などにも付着していることが多いと言われています。キッチン回り以外のモノでも台所仕事をやりながら、つい触ってしまっている方も多いと思います。それら全般注意が必要な場所になってきそうです。

 

 携帯電話も除菌が必要

除菌洗剤では不十分

食材が直接触れるまな板は特に食中毒菌には注意が必要です。洗剤で洗えば大丈夫と思っていても実はあまり大丈夫ではありませんでした。

食中毒菌が繁殖した場合、いくら洗剤できれいに洗っていても完全には除菌できていません。

無菌状態のまな板を使って肉を切り、その後洗剤で洗う実験で検査した結果、菌はかなりの割合で残留していました。そのまま常温で菌を放置しておくと細菌は増え続け10時間後にはなんと2,500倍に増殖していたといいます。

 

まな板殺菌法

食中毒菌は熱に弱いので洗い流すだけでなく熱消毒するのがお勧めです。
肉を切った後は他の食材を切る前に、沸かしたお湯でまな板を一度熱消毒します。

 ポイントは85℃以上のお湯を全体に行き渡るようにかけること。

こうすることでほぼ食中毒菌を消毒でき他の食材を安心して調理することもできます。

 

台布巾の殺菌方法

塩素系漂白剤で洗って干した台布巾でも、時間が経つごとに黄色ブドウ球菌サルモネラ菌などの増殖は起こります。水洗いだけでもあまり変わりはありませんでした。 洗った後にまた菌が増え始める原因は湿らせることです。

 

たしかに、台を拭きおわったら、水で流してキッチンにそのまま陰干ししてしまっています。濡れた状態で放置していることはよくあります。

コレが良くないようです。

 

テーブルや机を拭く時はアルコールを吹きかけて、乾いたタオルで拭くと消毒することができるので濡れたままにしておかないことが大切なようです。

 

加熱しても除菌できない食中毒菌

食中毒菌の中には熱に強い耐性を持つ菌もいます。代表的なものはウエルシュ菌と呼ばれ、食肉から感染しやすい食中毒菌です。

 

ほとんどの食中毒菌は熱で殺菌できるのに対しこのウェルシュ菌は食品を加熱しても全滅せずに冷めていく過程で増殖していくのが特徴です。

 

一度ウエルシュ菌が大量に増殖すると再加熱しても生き残るため食中毒になる恐れがあります。お味噌汁、煮物、カレーなどは注意が必要です。

 加熱しても除菌できない食中毒菌

ウエルシュ菌対策

ウエルシュ菌を増殖させない方法は冷蔵庫で急激に冷ますことです。

加熱後残す場合は、2時間以内に冷蔵庫に入れることで繁殖を抑えることができます。ただし、大きな鍋のまま入れるのは冷えるのに時間がかかるのであまりよくありません。中央部分が冷えるのに時間がかかってしまい、菌の増殖を招く恐れもあります。

大量に作り残ってしまったものは小分けにしてから冷蔵庫に入れるのがオススメです。

 

まとめ

  • 食中毒は菌の増殖により引き起こされる。
  • 気温と湿度が高いと一気に増殖する。
  • 水気のあるまま放置しない。
  • 食肉などの食材には食中毒菌が多くまな板は洗剤で洗っても落ちない。
  • 食中毒菌の滅菌に効果的なのは85℃以上の熱湯をかけること。
  • 熱に耐性を持つ食中毒菌もあるので、この時期鍋物などは常温で放置しない。